1999年、同族経営の総合ハウスメーカー
創業者が脳卒中に倒れた。
この同族経営企業は、今後生き残れるか?
リーダー不在で会社は激しく動揺した。
管理職についていた息子3人は、
組織改革や新戦略の議論を重ねたが、
何をやってもうまくいかず…
取締役会は、後継者が誰で、
会社は存続可能なのかと
不安や怖れを抱いており…
社員たちは諦め、開き直り、
表面上は平静を装いつつも、
仕方なく仲間として仕事をしていた…
会社は、完全に行き詰まった。
・・・
そんな時、
すがる思いで立て直しを
依頼した外部のコンサルは、
奇妙なことを言い始めた。
“問題は、後継者育成でも企業戦略でも
職責でもなく「言語のもつれ」にある”
“口調、声の高低、身ぶりなど
「言外に伝達される情報」も含む言語。
これこそが会社のパフォーマンスを
下げている原因だ” と。
言外の情報には、思い込み、期待、
落胆、憤り、後悔などもあり、
それをみんなが心に隠し持っている。
すると、言い逃れをしたり、
距離を置いたり、無関心を装ったりと
何か秘密を抱いている様子は、にじみ出る。
……調査を進めると、
社員たちの言葉の背後にこんな
メッセージが浮かび上がってきた。
「自分は手を尽くしているのに、
他の人のせいでうまくいかない。
創業者さえいてくれたら、
なんとかしてくれたはずだ。
でも、それも無理だ。
結局、自分が頑張るしかない。」
書類で散らかったデスクには
スペースがなく、新しい作業が
何もできないのと同じように、
社員たちの言外の情報は、
新方策を考える余裕を奪っていたのだ。
・・・
そこでコンサルチームは、
『パフォーマンスアップ3つの法則』
というものを基盤に計画案を立てた。
まず取締役会は
徹底的に話し合い、言外の思いを探った。
そして、一つの打開策が実行された。
それは、親族と経営幹部が
創業者に向けた手紙を書くことだった。
手紙を書きながら涙するものもあれば、
深く考え込む者、優しい創業者を
思い出して笑みを浮かべる者もいた。
取締役会の一人はこう宣言した。
「私1人ではわが社の未来を
見出すことができません。
ですが、私は期待に応えるために、
また、創業者がお望みになったであろう
レベルを凌ぐべく、社員を
まとめ上げていきたいと思います」
こうして、会社は
失った未来を取り戻し始めた。
それから20年弱。
当時1100億ほどだった売上は
リーマンショック危機で落ち込むも
堅実な成長を続け、昨年は
過去最高の2700億円を記録した。
さらに、15年連続受賞の
グッドデザイン賞を始めとし、
環境責任や地域貢献などの分野で
数々の賞を受賞している…
・・・
いかがでしょうか?
結局のところ、
会社が行き詰まる原因は、
人に関する問題です。
そして、
その問題を解決する手段の1つが
話し合いで言外の思いを明らかにし、
「言葉を変える」というものです。
口調、声の高低、
アイコンタクト、身ぶりなども
含めた言葉、言語を変えることで、
投げやりな態度の社員でも
意欲的に働き、自信に満ち溢れ、
結果を残せるようになります。
あなたの会社でも、
どんな言葉が発せられているか、
どんな言外の情報が飛び交っているか、
観察してみたり、
どんな思いを持って働いているのか
対話を試みてみたりしてはどうでしょう?
人の問題を解決する糸口が
きっと見つかるでしょう。
これは、20ヶ国・約300社に及ぶ
コンサルティング経験から発見された、
人の問題を解決するための法則ですが、
このような法則はあと2つあります。
もしあなたが、
社員がやる気に満ち溢れ、
自然と最高のパフォーマンスを
発揮することができる会社を作る
3つの法則を知りたいのなら、
ぜひ本書を手にとってみてください。
ビジネス書を読むときのコツ
ビジネス書を読むとき
最初のページから最終ページまで
全ての内容を読もうとする必要はありません。
本に書いてある内容はあくまで
あなたのビジネスに役立てるための
ツールだからです。
今あなたが困っている課題を解決するアイデアを
探すように読んでみてください。
役に立つアイデアが見つかったら
本を読むのを中断して
すぐにそれを行動に移してみてください。
そうすることで、買った本を
ただの読み物で終わらない
生きた情報にすることができます。